Hamamatsu Arts & Creation 浜松アーツ&クリエイション

Hamamatsu Arts & Creation 浜松アーツ&クリエイション

What’s Arts&Creation?

浜松・浜名湖ツーリズムビューロー提供

Program Directorからのご挨拶浜松の皆様へ

エルシステマとの出会い

※1,2 YouTube ベネズエラのエルシステマ

ある日、Youtubeを見ていた時、まるでロック・コンサートのような、のりのりの楽しいオーケストラの映像に目が止まりました。※1
それが、ベネズエラの社会プログラムとして展開されているエル・システマとの出会いでした。貧困の中に置き去りにされていた子供達に楽器を与え、音楽教育を無償で施しオーケストラを結成して、社会の中で子どもたちが誇りと希望をもって生きていけるようになることを支援する仕組みです。
今では彼らは世界中で演奏旅行を行い、その中からロサンゼルス・フィルの音楽監督でベルリン・フィルやウィン・フィルと共演する指揮者、
グスタボ・ドゥダメルなどの世界トップクラスの音楽家を輩出しています。※2
音楽に、社会を変える力があるということに気づかせてくれた出来事でした。

芸術の力

また、数年前に瀬戸内国際芸術祭で犬島を訪れました。
来島した若者達に生き生きとコンテンポラリー・アートを説明している島のおばあちゃんに出会った時には、
「この芸術祭がなかったら、私はこの島に来ることはなかった」と気がついたものでした。
今、世界中で、そして日本でも、芸術の力を社会に活かしていこうというさまざまな試みが行われています。
浜松アーツ&クリエイションのミッションの一つは、こうした動きを促進していくことです。
浜松ではどんな活動が必要、あるいは、ふさわしいのでしょうか?
少子化高齢化が急速に顕在化してくる日本。労働力として他国の方を受け入れざるを得なくなってきます。
海外の観光客を受け入れて日本にお金を落としてもらうことも重要です。
そうした社会では、自分たちと異なる文化・価値観の人たちと接する事が多くなり、互いを理解し、
上手に共生していくことが求められます。
すでに製造業の街として多くの海外の方を受け入れている浜松は、
多様な人達が気持ちよく、楽しく住んでいける街として、将来の日本の社会のあり方のとなることができるでしょう。
そうした施策を進めて行く中で、押し付けがましくなく、心のバリアを解いていくこと、それは文化や芸術が得意とする分野ですね。

芸術の力芸術の力

これからの時代を生きる人を作る

世界の産業界も激動の時代を迎えています。音楽業界に身をおいていた私は、それを実感してきました。
アメリカではかつて音楽ファンが足繁く通ったタワーレコードが倒産し、レコード店という事業形態が消滅しようとしています。
Appleも楽曲のダウンロード販売をやめ、音楽ビジネスはストリーミングという形態に移行しています。
音楽業界だけでなく、トイザらス、アン・テイラー等大型小売店が続々閉店。
「ものを買う」なら通販、わざわざ店まで足を運ぶ必要がない社会に移行中です。
工場や倉庫はAIによる無人のオペレーション化が加速。その一方で、インターネットを活用すれば
どこにいても世界中の市場に届くことを活かして、これまでなかったような新しいサービス、事業が続々と生まれてきています。
アメリカでおこっていることは、遅かれ早かれ日本でもおきてくるでしょう。
これまでの経験や常識が通用しない世界。その中をたくましく生き抜いていけるような人づくりが必要になってきます。
知識を覚える、のではなく、知識を自分で探しだし、活用し、自分で判断し、創りだし、世界に発信できる人。
もしかしたら、文化や芸術の活動を通して、感度の高い、しなやかに生きていける人、ビジネスの世界でも
クリエイティブな発想を持てる人を育てることに貢献できるのではないか?
なぜなら、Artとは、音楽を演奏したり絵を描いたりすることだけでなく、『既成概念に囚われずに自由に発想し、
新しい視点でものや行為を作ること』だからです。
そしてそういう人を育てるのは、音楽や芸術の価値を知っている大人たちではないでしょうか?
文化や芸術の本来的な価値、人を作る、という役割にも注目していきたいと思います。

浜松の魅力

外から浜松にやってきた私は、まずは浜松の魅力を発見することから始めたいと思います。
浜松にどんな文化・芸術があるのか、どんな課題があるのか、どんな支援が必要とされているのか、
それに対して文化や芸術はどんな貢献ができるのか。市民の方に沢山お目にかかってお話を伺い、浜松の現状を把握していきたいと思います。
浜松の方たちが当たり前と思っていることも、外からみたらとても素敵な、恵まれていると思われることが沢山あります。
例えば、日常の生活の中で、音楽を楽しんでいる人達がこんなに多くいること。
熱心で優れた指導者の先生が沢山いらして、世代を繋いで演奏活動が継続されていること。
文化振興の目的の一つが『感性豊かな毎日を送ることである』とすると、浜松はすでに高いレベルで達成されているのではないかと思います。
仕事をしながら文化活動を楽しめる町であること、今問われている“ワーク&ライフバランス”が取れやすい町としての浜松の魅力、
子どもたちが優れた指導者に巡り会える可能性の高い町としての魅力も、外に対して発信していけたら、と思います。
一方で、市民が上質な芸術に触れる機会の多い町にするためには、芸術に対して時間とお金を使って支えてくれる市場が必要です。
浜松では演奏をする人が多いのに、必ずしもコンサートのチケットが完売するわけではないようです。
自分で演奏することを楽しむ人達が、プロのアーティストや、他の市民の演奏をもっと積極的に聴くようになったら、
そこに市場が生まれ、もっと多くのアーティストが訪れる町になるのではないでしょうか?
浜松の中で活動している多くの点と点を結びつけて、浜松の文化の力をもっとよく見える形にしていければ、
市民が芸術活動を支え、次世代に繋いで行く活動をしっかり応援していければ、と思います。

浜松の魅力浜松の魅力

さいごに

どうぞ、皆様のご意見をおきかせください。
浜松市民の皆様の想いをしっかり受け止めて、市民の皆様と一緒に、これからの浜松のために役立つ活動にしていきたいと思います。
できない理由を10述べ始めるのが今の日本の風潮ですが、ここは『やらまいか』の街、浜松。
できる理由を一緒に考えていただけると期待しています。

浜松アーツ&クリエイション プログラム・ディレクター 菱沼 妙子浜松アーツ&クリエイション プログラム・ディレクター 菱沼 妙子

“The point is, art never stopped a war and never got anybody a job.
That was never its function. Art cannot change events.
But it can change people. It can affect people so that they are changed...
because people are changed by art –enriched, ennobled, encouraged – they then act in a way that may affect the course of events... by the way they vote, they behave, the way they think.”
Leonard Bernstein

“芸術には、戦争を止めたり、人々に仕事を与えたりする力はない。
それは芸術の本来的な役割ではない。芸術は社会の事象を変えることはできない。
でも、芸術は人を変えていくことができる。芸術は人の心に触れて、人が変わっていく。
なぜなら、人は芸術に触れることによって、心が豊かになり、崇高さを獲得し、
勇気をもらうことができる。
そうして芸術によって力を得た人達が、社会の事象を変えていくことができるのだ。
投票という行為を通して、あるいはその行動によって、考え方によって。”
レナード・バーンスタイン