Hamamatsu Arts & Creation 浜松アーツ&クリエイション

Hamamatsu Arts & Creation 浜松アーツ&クリエイション

We Love Hamamatsu!

やらまいか精神に溢れた
浜松ゆらいの素敵な人やできごとをご紹介します!

世界で活躍する浜松のアーティスト Vol.1

浜松出身で小学校の金管バンドで管楽器演奏に出会いその後中学高校と吹奏楽一筋、現在日本のユーフォニアム若手奏者として全国で活躍されている小久保まいさんが今年の5月、アメリカのアイオワ大学にて開催された国際テューバ・ユーフォニアム会議 International Tuba Euphonium Conference (以下 ITEC アイテック) 2019 にゲストアーティストとして招かれ、ソロリサイタルを行いました。その様子をご報告いただきました。

[ITEC について]

この国際イベントは、世界で活躍するユーフォニアム・テューバ奏者や、大学教授達によって結成された ITEA (International Tuba Euphonium Association 国際テューバ・ユーフォニアム協会)が主催しており、奏者の交流、演奏技術の向上、情報交換を目的とし、1973年から2~3年毎に、主にアメリカ国内で開催されています。1990年には日本、札幌で開催されました。期間中は朝8時から夜10時まで、ウォームアップ講座、ソロやアンサンブルコンサート、公開レッスン、研究発表、コンクール、楽器展示や楽譜販売などが行われています。

 

[ITECのすごいところ ①道を歩けばレジェンドばかり!]
世界中から約1000人のユーフォニアム・テューバ奏者が集まりますが、国際的に大活躍するプレーヤー達や、歴史を作ったレジェンド達が自分の目の前を横切っていくのが、まず凄く感動します。CDや雑誌でしか見たことのなかった有名アーティスト達が、人と話をしながら笑ったり食事をしたりしていて、「本当に生きてるんだ!」と大興奮します。

[ITECのすごいところ ②一流達の本気に触れられる]
ITECは楽しくてお祭りのような雰囲気もありますが、コンサートやリサイタルは、一流プレーヤー達の真剣勝負の場です。世界の大舞台で、演奏者達がどんな作品を選び、どんな演奏をするのか、聴衆達の期待に応える為に、全身全霊で演奏する姿に心を打たれます。ここは「Musicianship (音楽家としての存在理由)」を披露する場所なのだと感じました。

[ソロリサイタル]
世界中の猛者達の演奏を聴き、自分のリサイタル前日は荷物をまとめて日本に帰ろうかという衝動に駆られましたが!(涙)
日本を代表する保科洋先生の新作発表は、多くの人が楽しみにしており、道行くアメリカ人や色んな国の人達にも「あのヒロシ・ホシナの新作初演だって!?楽しみにしてるよ!」と言われましたし、留学先の恩師で、伝説的なユーフォニアム奏者のブライアン・ボーマン先生をはじめ、 保科先生のお嬢さん・保科琴代さん(ウィスコンシン州在住)も駆けつけてくれるとあり、逃げるわけにはいきませんでした。私の今回のITECリサイタルプログラムは、保科洋先生の委嘱作品「秋の木の葉」世界初演と、2018年フランス・クードヴァン国際交響吹奏楽作曲コンクール第1位を受賞した芳賀傑さんの新作「バラード」の世界初演が目玉でした。

保科先生の作品は、繊細な弱音と豊かな表現、そして理にかなった音のエネルギー運びを必要とするので、ピアニストの稲垣満有子さん(浜松市出身、同市在住)と何度もリハーサルして、念入りに合わせをしていきました。ユーフォニアム大好き!という芳賀さん作曲の「バラード」は、ユーフォニアムの魅力を追求した叙情的なメロディと、ユーフォの機動性をギリギリまで駆使する技巧的な部分が絶妙なバランスで書かれていて、芳賀さんの大いなるユーフォ愛を受け止めきれるかが、1番の課題でした。そして、ピアノの稲垣さんの腕が千切れてしまうのでは!?と思うほどの激しいピアノ伴奏が見ものでもありました。


どちらの作品も大好評!
演奏終了後は、著名人も昔の仲間達も声をかけてくれて、本当に幸せでした。
みんな新作品に興味津々で、多くの人が楽譜を覗き込んで、「この楽譜の発売はいつだ!?」と聞いてきました。日本人の作品は、世界で充分すぎるほど戦える!そうアピールもできたと思います。そして何より!保科洋先生(浜松アクトシティ音楽院 吹奏楽部門 音楽監督)の知名度に驚きました。保科先生は1986年のITEC オースティン・テキサス大会で、日本人ユーフォニアム奏者の三浦徹先生の為に「ユーフォニアムとピアノのためのファンタジー」を書いているのですが、その「ファンタジー」とっても美して叙情的で、アメリカ人を含めて多くの人達の心を掴んでやまないのです。70代の大御所達から20代の若者まで、「あのファンタジーのホシナでしょ?」と話しかけてくるんです。

素晴らしい作品の力は、時空を超えるんだなぁと感動しました。
世界のホシナ!おそるべし!

[海外の舞台に挑戦する意味]
私の日本でのユーフォニアムの先生である三浦徹先生(元・国立音楽大学教授、ITEAからユーフォニアム・テューバ界に貢献した人物として「Lifetime Achievement (功労賞)」を贈られた数少ない日本人)からその昔、「例えば、モーツァルトが山奥で1人で生きていても、モーツァルトはモーツァルトという大作曲家になれたと思うか?答えはノーだと思う。音楽をする上で大切なのは、良い先生と出会い、たくさんのライバルと切磋琢磨して、情報を集め、刺激のある環境に常に身を置く事が大切だ。」と言われた事があります。

そして、私のアメリカでの先生、ユーフォニアム界のレジェンドと言われる、ブライアン・ボーマン先生は、「楽器が上達したければ、決して自分の演奏に満足しないこと。一度立ち止まったら、そこで成長は止まる。理想を追いかけ続けなさい。」と、ITEC 2019で開催されたマスタークラスで参加者に話していました。

私がITECのゲストアーティストとしてリサイタルをさせて貰ったのは、2014年 インディアナ大会、2016年 テネシー大会、そして今回のアイオワ大会の3回目です。
世界の一流プレーヤーや、教育者、音大生達などが集まるITECという場所で、自分を晒す事は、いつもとても恐ろしいです。大変な準備と根気を要します。「なんでこんなに苦しい事を、自分から進んでやってるんだろう?(笑)」と思うこともあります。
ですが、私はITECに行くと、必ず楽器が上手くなるんです!
ちょっぴりですけど!(笑)
いつも何か演奏上達のヒントを貰って帰る事ができるんです。きっと、勇気をだして自分を晒して、常に聴衆と自分の音楽に真摯に向き合う超一流プレーヤー達の心構えが、私に「次のステージ」への登り方みたいなのを教えてくれるんだと思います。ITECは私のパワースポットです。

この挑戦は、はっきり言って私の自己満足なのですが、「体の小さい日本人女性が、荒波にもまれながら頑張ってるな」と誰かしらに勇気を与えているのではと自負しています。

小久保まい Mai Kokubo ユーフォニアム
静岡県出身、浜松市立高台中学校、浜松市立高等学校卒業。国立音楽大学器楽学科(ユーフォニアム)卒業、アメリカ ノーステキサス大学大学院 ユーフォニアム演奏研究科修了。2012年、第29回日本管打楽器コンクールユーフォニアム部門 最高位受賞。2014年、2016年、2019年ITEC(国際テューバ・ユーフォニアム大会)のゲストアーティストとして招待され、アメリカのインディアナ大学とテネシー大学、アイオワ大学にてリサイタルを開催し好評を博した。2015年5月に「不思議の国の戦争」でCDデビュー。国際テューバ・ユーフォニアム協会からRoger Bobo Awards 2016のファイナリストにノミネートされる。「浜松ユーフォニアム・テューバフェスティバル」を主催。
現在、洗足学園音楽大学、金城学院大学、常葉大学短期大学部、常葉大学附属橘高校、浜松学芸高校音楽科、甲斐清和高校音楽科、 各非常勤講師。

なお、小久保さんも講師として参加される「第1回 浜松ユーフォニアム・テューバキャンプ」が2019年8月25日から27日には開催されます。

詳しくはこちらへ

https://maikokubo.wixsite.com/euphonium/concerts——–