2021.10.03INTERVIEW
画家の石松チ明さんにお話を伺いました
浜松市出身の画家、石松チ明さんにお話を伺いました。
―プロフィールを拝見すると、浜松生まれ、豊橋育ちとのことですが?
2歳まで浜松で、その後豊橋に移って、高校は浜松市内の高校に通っていました。当時から美術がすごい好きだったので、芸術科のある高校に進学しました。
―大学は美術系の大学ではなく、法学部に進学されたんですよね!?
高校在学中にスランプというか、美術のことが嫌いになった時期があって… 特に、教えられて描くことに嫌気がさしていたので、美大に行ったら完全に絵が嫌いになってしまうと思って、美大受験は一切やめました。小さい頃の夢が、画家か検察官だったので、画家がだめなら、検察官ということで、頑張って勉強をしました。一日12時間ぐらい勉強して、法学部に行きました。
―でもやっぱり絵を描きたいと思われたんですか?
法学部に入ると法律の勉強をしなきゃいけなくて… 天の邪鬼なのか、強制されるとやりたくなくなっちゃうんですよね。紆余曲折はあったんですけど、美大に行っていたら、美術が本当に嫌になっていたと思うので、そういう点も含めて良い回り道だったと思いますね。
美大に行けば良かったって思ったことも何度もあります。
―現在の創作活動の中で、法学部で勉強したことで活きていることはありますか?
直接的なところだと、著作権法の勉強ですかね。
法学部に進学したことで、何を考えて、何を切り取るのか、物事を思考する力が身につきました。1年間に300冊くらい本を読んだり、色々なものごとを考えたり、インプットする時間ができたかなと思います。「何を考えて、何を目指して絵を描くのか」というロジカルな思考が構築された点は、他の道に行って良かった点ですね。
―不美人画家と名乗られ、「不美人画」を描かれていますが、石松さんの作品に描かれる女の子は不美人にはみえないのですが…
そこがミソで、骨格的な意味です。美人画って見た目と内面の話らしいんです。顔はもちろん綺麗で、いつも笑顔で、品行方正。不美人画はその真逆をいくものです。一重の目、むくれたり、すねたり、睨んでたり、機嫌が悪かったり、そういう女の子をどう魅力的に描くかがテーマで、そういう女の子にもこういう魅力があるよ、ってところが伝わると、『やった、良し!』って思います。
ー美人とか不美人とかいった観点ではなく、石松さんの描く女の子は個体としての魅力があるように感じます。
美人とか不美人とかいった観点ではなく、それ以外のところにマゾヒズムというテーマもあるので、意識して不美人を描く時もあれば、美人でも、不美人でも良いかなって時もありますね。
―石松さんの作品に、マゾヒズムやエロティシズムはあまり感じないのですが…
エロティシズムと言ってくださる方も、題材はエロいけど上品だねって言ってくださいます。それは嬉しいですね。自分の表現したいことを、いかに綺麗にラッピングして、相手の心まで届けるかだと思っています。題材としては、マゾヒスティックなものを持っていてそれを絵にしているんですが、それを感じさせないようにはしています。そう言っていただけると成功したなと思いますね。
階層性を持たせていて、あまり絵を見ない方にも、綺麗だねとか、色が良いねって言っていただけるように、ちょっとわかる方には、自分の真意が伝わるように意識して描いています。
―今後、チャレンジしてみたいことはありますか?
音楽評論をしたいです。絵を描く時にいつも音楽を聞いていて、そのエッセンスや感情や感覚をもらって絵に再構築しています。評論と言うよりは、コラムのようなイメージで、自分の絵で飾って出版できたら良いなというところが今の目標ですね。
画集も出版したいし、映像も媒体として魅力的だなと思っていて、新しいカタチで、私の表現したいものができるんじゃないかなと考えています。
―ご自身の作品のPRをお願いします。
みなさんが見たいように見ていただければ、それが正解だなと思います。
いろんなところに仕掛けがあったり、言葉にできない感情を絵に映しているので、探りながら見ていただければ面白いかなと思っています。
石松チ明 絵本・作品集「すてうさぎ」
<石松チ明>
不美人画家の石松チ明と申します。
魚座B型、法学部中退です。
顔面・内面共に美しくない女の子を画になるように絵にする試み「不美人画」を筆頭に、世間的にはよしとされていないあらゆるものたちにきらめきを見出すべく制作をしています。そのために大事にしているのは「性死を忘れない」ことと「弱さを裏切らない」ことです。
【Instagram】@1402chiaki
【Twitter】@chiaki1402