アートによる多様な人々との対話の場
取組概要
浜松における「多文化社会」を考えるための文化芸術事業の検証として、言語に頼らない表現を体験し、またプロジェクト自体がまちの多文化の様
子の「記録」になるように、表現方法であり記録装置でもある「映像」をテーマにした企画を開催しました。アニメーションワークショップと映像作品上映会を開催し、主に外国にルーツのある人や、「多文化社会」のテーマに関心がある人が来やすくなるような工夫をしました。
① 【アニメーション&音づくりワークショップ】
日付:2024年9月22日(日・祝)、23日(月・休)
ファシリテーター:蓮沼昌宏、オコトロン
会場:浜松市鴨江アートセンター
② 【映画上映会「Screening Ourselves」&茶話会「シネマ・ミートアップ」】
日付:2024年11月1日(金)、4日(月・休)、10日(日)
会場:木下惠介記念館
上映作品:
・『「アニメーション&音づくりワークショップ」記録映像』
・『再びおかえり』(ブラジル)
・『愛しきソナ』(韓国・日本)
・『異郷人』(中国・日本)
・『広島生まれ』(中国・日本)
事業成果
本事業の会場である当法人の指定管理施設(公共文化施設)に、外国にルーツのある人や日本語を母語としない人が来館するきっかけをつくることができたことは、大きな成果だと考えています。
ワークショップでは、外国にルーツのある人と日本人が一緒の空間で制作しました。文化的背景が異なる参加者同士のチームで制作してもらうパートがあり、互いの作品に参加することで、自然なコミュニケーションの場をつくることができました。
上映会では、日本と外国両方にルーツのある映像作家の映像作品を上映し、当事者のおかれる状況を発信しました。茶話会で意見交換を行うことで、誰もが「多文化社会」の当事者である意識を高められたと感じます。また、広報では、浜松国際交流協会の協力もあり、外国人の多く集まる場所に出向いて「やさしい日本語」で記載したチラシを配るなどして、多文化の利用者を受け入れる体制があることをアピールできました。事業を通して外国人コミュニティと「顔見知り」になることで、今後の公共文化施設利用のハードルを下げることができたらと願います。
今後の展開・展望
2023 年度の「目の見えない白鳥さん、アートを見に(浜松に)いく」に続き、「アートを ミル・キク・ハナス プロジェクト」では、アートや文化を
通じて多様なコミュニティとのコミュニケーションをとるプロジェクトを行ってきました。今年度「多文化社会」に着目した本事業で学んだことを活
かしていくと同時に、さらに様々なコミュニティに参加していただけるような、まちに開かれた活動を行っていきたいと考えています。
公共文化施設は、「公共」とは言いながらも、これまで限られた人々だけに享受されてきた文化のインフラです。
こうした施設を管理運営することを主な活動とする組織として、多様な人々がそれぞれの居場所や創造活動の拠点を持つきっかけをつくることを、アー
トを通したソフトパワーで推進していきたいと思います
浜松アーツ&クリエイション
事務局より
外国にルーツを持つ市民が多いということは、浜松の特徴の一つです。今回の事業を通して、浜松で国際交流と地域の多文化共生づくりを進めている、浜松国際交流協会(HICE)をはじめとする地域のコミュニティとのつながりが生まれました。
ワークショップでは、自分が描いたパラパラアニメーションにグループで音を付けあい、表現の面白さを体験しました。発表会で一体化した参加者の様子が印象的でした。
今後も、多文化が共生する浜松の文化芸術の向上につながる事業展開に期待します。(浜松A&C 矢川)