Hamamatsu Arts & Creation 浜松アーツ&クリエイション

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We Love Hamamatsu!

やらまいか精神に溢れた
浜松ゆらいの素敵な人やできごとをご紹介します!

地域と世界を繋ぐ人 都田建設社長 蓬台浩明 氏

浜松駅から車で北へ40分。週末になると県外ナンバーの車が数多く訪れる場所があります。山に囲まれた緑豊かな都田に立ち現れるのは、周囲の自然と調和しながら点在するセンスの良いカフェ、レストラン、ショップ、ホテル、ブックストア等。ジャズライブや様々なイベントも開催されています。ドロフィーズキャンパスと名付けられた、この心地よい空間を創り上げたのは、都田建設の蓬台浩明社長。建築業を母体としながら、生活を取り巻くモノやコトを通してスローでクリエイティブなライフスタイルを提案しています。

キャンパスの大部分は、地域の方の土地を借りて、昔からある建物の良さを活かしてリノベーションして使っています。 都田建設が地域の方に愛されその土地に根づいているかがわかりますが、そこに至るまでには長い時間と、地域の方から信頼されるための地道な努力の積み重ねがあったようです。

ドロフィーズキャンパスを散策しながら、蓬台浩明氏にお話を伺いました。

 

―レストランやショップなどを見ると、マリメッコやイッタラの雑貨、北欧家具、薪ストーブなど北欧のスタイルを多く取り入れられていますね。なぜ北欧なのですか?

住宅建築とは、そこに住む人達のライフスタイルを形にしていくことです。私たちの大切にしている価値観、シンプルであること、一つの良いものを長く丁寧に使っていく、機能美、地球と体にいい…などを挙げていったら、北欧の暮らしと共通点が多いという事に気づいたんです。日本の暮らしと北欧の暮らしをミックスし、古きよきものを活かしながら新しい価値を生み出すことを家づくりや様々な事業で発信しています。

今の消費者や若い人達は、キラキラした東京のおしゃれなものに見飽きていて、古いものを活かしていくという価値観に共感してくれる人が増えているように思います。

―都田に突然北欧風の風景が現れた訳ですが、地元の方たちの反応はいかがでしたか?

はじめは理解されないこともありましたし、信頼関係を築くまでにはずいぶん時間がかかりました。

ここは市街化調整区域だったので、新築を立てることができず、古い建物を生かすしかないというところから始まりました。ドロフィーズキャンパスの青写真を掲げたのが2007年ですが、当初は4年経っても何一つ動かなかった。社員と一緒に毎日地域のごみ拾いなどを続けているうちに、土地や建物を貸してくださる方がでてきました。地元の方は、見ていないようでずっと見ていたんですね。

ただ、皆が賛同してくれていたわけではなく、反対派の方もいらっしゃいました。どう向き合うべきか悩みました。でも、この方は私たちよりもずっと長くこの地に住んでいらっしゃる。尊重すべきだと思いました。実は、その方から直接土地を借りてなかったので、詳しい説明には回ってなかったんです。もしかしてそこをないがしろにしていたからなんじゃないかと思いまして。それからは、関係がないと思えるようなことも、一番にその方にご説明に行くようにしました。そうしたら、ちょっとずつ変わっていきまして。今は社員が外で草刈りしていると自分の土地でなくてもお手伝いしてくれたりします。

―外からきてその地域の魅力に気づいて活性化したいと頑張ってる人は、地元の人たちをどう巻き込むかが課題と言われます。

そうですね。それはもう、地域に根付いて根付いて、その土地の方の顔と考えてることがわかるくらい良く対話してないと。地元の方一人一人に丁寧に向き合い続ける、その人に腹割って話す、そのエネルギーって、例えば東京からきてアイデアを出して実現させるエネルギーより相当高いんじゃないかと思います。そこをやる覚悟と意思がないと、外から来た地域創生って逆に地域を振り回して終わってしまう。

経営って“信頼”なので、お金をいくらかけても“信頼”は買えないんですけど、例えば1000万広告費をかけて得られる信頼と、地域の方が大切にされていることに関わって得られた信頼じゃ深さが違いますよね。後継者がいない地域の神社の再建を我々の費用でやらせていただいたこともありました。そうした信頼が回り巡って、リフォーム工事のお話をいただくことにつながったり、工事を頼むんだったら都田建設って言ってくれるようになったり、そういうのが日本の経営哲学なんだと、松下幸之助さんがおっしゃっていることがまさにこういうことなんだと思いました。

―北欧スタイルを推奨しながらも、日本伝統の宮大工の技術も継承しようとしていらっしゃいますね?

はい、ドロフィーズキャンパスの中に棟梁育成学校があります。宮大工の技術は、日本伝統の建築技術の粋を凝らしたもので、機会作業では到達できない美しい仕上がりを実現しています。そこには様々な技術や知恵が凝縮されています。弊社ではベテランの宮大工の方を雇用して、若手にその技術を伝える努力をしています。またキャンパスの中では宮大工が使うさまざまな道具も展示しています。

↑ 日本の伝統工法「通し貫構造」で建てられた建物 耐久性と耐震性に優れている

―北欧との実際の交流もされていますか?

フィンランドと盛んに交流しています。一昨年は日本とフィンランドの国交100年ということで、記念にお神輿を寄贈しました。このお神輿は、東日本大震災の被災地で行き場をなくして眠っていたパーツを使って弊社の宮大工と東北の宮大工さんが一緒になって作り直したんです。約3万点のパーツが使われています。フィンランドで桜が咲く5月には、社員と現地住民がお神輿を担いで首都ヘルシンキのメインストリートを練り歩きまして、静岡新聞さんをはじめ向こうのメディアにもたくさん取り上げていただきました。

他にも、フィンランドのアールト大学で宮大工のセミナーを開いています。

日本の棟梁育成学校は現役の大工さんや建築を学んでいる人が参加してくれていますが、フィンランドでは建築に関心のある人だけでなく、宮大工の知恵が生かせるからとIT企業の人やエンジニアの人が来てくれるんです。30人くらいの席に100人ぐらいが集まることも。

日本の文化や技術に対するアメリカや欧州の関心は目を見張るものがあると思います。

そんなご縁で、都田にもフィンランド人が遊びに来てくれて、地元の人と交流が生まれています。

東京・京都・奈良などの観光地ではなく、日本の生活感のある風景に北欧の暮らしが溶け込んでいる様子を見て、みんなとても喜んでくれるんです。他にも、IPPO TO JAPANというプログラムでは、フィンランドの若者が都田に約1か月滞在し、日本の風土や日本の文化を学んでいます。

―浜松をどう捉えていらっしゃいますか?

世界300都市くらい回って、国内もいろんなところに行って各地の空気感を感じてきましたが、浜松は圧倒的だなと思うことがありまして、それは人が作り出す空気が純粋なプラス思考だということです。

私は関西の生まれなんですけど、関西の明るさと浜松の明るさは質が違うと思います。関西は人の事をこき下ろしながらそれを笑いに変えていく、少しネガティブな要素が入るんですけど、浜松は全くそれがない。人を蹴落としたりする発想がないし、やらまいか精神という言葉の通りみんなで盛り上がっていく。そのピュアでプラスのエネルギーっていうのは本当に圧倒的、日本一なんじゃないかと思います。

また、今はローカルであればローカルであるほど面白く価値がある時代だと思っています。

例えば私も、フィンランドのフィスカルスという小さな田舎町に行くために旅行したことがあります。フィスカルスは、はさみがとても有名なものづくりの街だったのですが、企業が買収されて一時は衰退してしまって、その工場の跡地にアーティストが住み込んで、アーティスティックでクリエイティブな街として生まれ変わったことで有名なんです。ヘルシンキよりフィスカルスのほうが面白いと思って、そこめがけていきました。

浜松も東京を追いかけたり大きい会社のマネをするのではなく、ローカルであることを意識するともっと面白いことができると思います。浜松の魅力を抽出して日本や世界に発信できたら、それに興味のある人が来てくれるのではないかなと。今はオンラインでいくらでも繋がれるし発信できますから。

~ドロフィーズキャンパスレポート~

ドロフィーズキャンパス内の本屋さんから一歩出ると、砂利の色がぱっくりと別れた地面に目が行きます。実はこれ、浜松市出身の美術家 青島左門さんによるアート作品なんです。

題は「国境を越える鳥」2018

鳥の境界のない自由さや、長い時間をかけて境界が変化し曖昧になっていく様を表しています。鑑賞者が砂利の上を歩ったり、石を対岸へ投げたりすることで変化のプロセスに参加できることも本作品のポイント。都田に訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

  

都田建設

1986年建築店として独立。96年都田建設を設立、08年ドロフィーズブランドスタート。

グリーン電力100%企業として環境大臣表彰など受賞。カーボンニュートラル認証モデル企業。他経済産業省などから多数受賞。Miyakoda駅カフェ・白のMINKAがグッドデザイン賞を受賞。他にも、棟梁育成学校、ウミガメの放流会など行う。

https://www.miyakoda.co.jp/corporate/